コーヒーを知ること、世界を知ることで、よりコーヒーが好きになる。
毎日何気なく飲んでいるそのコーヒー、実は「世界を映す鏡」だということをご存知でしょうか。
私はこれまで、コーヒーを単なる「眠気覚まし」や「休憩のお供」としか考えていませんでした。
しかし、この本をきっかけに、コーヒーカップの向こう側に、歴史、経済、そして地球環境といった壮大なドラマが広がっていることを知りました。
「コーヒーのこと」について知識を広げることができる「コーヒーの教養」について要約してご紹介します。
「コーヒーを知ることは、世界を知ること」。
産地の背景やプロセスの違いを知れば、いつもの一杯が驚くほど美味しく、そして愛おしくなります。
初心者でも分かる「スペシャリティコーヒー」の世界へ、一緒に足を踏み入れてみましょう。
読書が苦手な学生さんや社会人の方、経営に関わる方にも、読みやすくコンパクトに要約しています。ビジネス書や自己啓発の本、まずは要点だけでも読んでみませんか。
『世界のビジネスエリートが身につけている コーヒーの教養』
「こんな一冊を待っていた! 一杯のコーヒーと世界経済はつながっている!」
著者 : 山本 博文
発売日: 2025年4月
出版社: あさ出版
ページ: 304ページ
※本記事の内容は、著作権に配慮して書籍の一部内容を要約・解釈したものであり、原文の転載は行っておりません。詳細は公式な出版物をご確認ください。
【こんな人におすすめ】コーヒーの教養を身につけたい入門者へ

「酸味」や「苦味」の違いを言葉で表現したい人
「なんとなく美味しい」から卒業し、自分の好みをバリスタや店員さんに伝えられるようになりたい人に最適。
例えば、「ブラジルのようなナッツ系の香ばしさが好き」や「エチオピアのようなフルーティな酸味が欲しい」といった具体的な表現ができるようになります。
本書の知識があれば、焙煎度合いや産地の特徴から、飲む前に味を想像するスキルが身につき、コーヒー選びがギャンブルではなく楽しい宝探しに変わります。
世界の歴史や経済の動きに興味がある人
コーヒーは単なる飲み物ではなく、世界を動かしてきたのは「燃料」。
17世紀のヨーロッパでコーヒーハウスが世論形成や革命の舞台となった歴史や、現代のブラジルやベトナムの気候変動が私たちの財布にどう直結しているかなど、カップの向こう側に広がる世界情勢を知ることができます。
ビジネスパーソンとして、コーヒーを切り口に経済やSDGsを語れるようになりたい方にとって、格好の教養素材となります。
「スペシャリティコーヒー」の本当の意味を知りたい人
最近よく聞く「スペシャリティコーヒー」という言葉。
実は、ただ「高級」なだけでなく、「生産者の顔が見える(トレーサビリティ)」ことや、国際的な評価基準で80点以上を獲得した「素晴らしい風味」を持つことなど、明確な定義があります。
コンビニコーヒーとの違いはどこにあるのか、なぜ価格が違うのか。
その価値の裏側にある品質管理や生産者の努力を知ることで、一杯のコーヒーに感動できるようになります。
自宅で美味しいコーヒーを淹れてみたい人
お店で飲むような味を家でも再現したいと考えている方にも、本書は多くのヒントを与えてくれます。
例えば、抽出するお湯の温度を変えるだけで酸味や苦味をコントロールできることや、使用する水の種類(軟水・硬水)が味に与える影響など、実践的なテクニックが満載。
道具を揃える楽しみだけでなく、豆のポテンシャルを最大限に引き出す「科学的な視点」でのドリップ術が学べます。
カフェでの時間をより知的で豊かなものにしたい人
カフェは単なる休憩場所ではなく、かつてはアイザック・ニュートンやアダム・スミスも議論を交わした「知の拠点」でした。
そんな歴史的背景を知りながら過ごすカフェタイムは、ただの暇つぶしとは一味違ったものになります。
メニューに書かれた「生産処理方法(ウォッシュドやナチュラル)」の意味を理解し、その一杯が自分の手元に届くまでの長い旅路に思いを馳せる。
そんな豊かな時間を過ごしたい人におすすめです。
【10の学び】コーヒーの教養で読み解くスペシャリティな世界

コーヒーハウスは「革命とビジネス」が生まれた場所
コーヒーの歴史を紐解くと、17世紀のヨーロッパで爆発的に普及した「コーヒーハウス」の存在に行き着きます。
お酒ではなく、覚醒作用のあるコーヒーを飲みながら理知的な議論を行うこの場所は、市民の社交場であり、情報交換の拠点でした。ニュートンやアダム・スミスといった歴史的偉人も足繁く通い、そこでの議論が近代科学や経済学、さらには政治的な「世論」の形成にもつながりました。
コーヒーは、人類を「酔っ払い」から「働き者」に変え、近代社会の発展を支えた知的な飲み物なのです。
味の決め手となる「アラビカ種」と「ロブスタ種」
世界で流通するコーヒーは、大きく2つの品種に分けられます。
一つは、私たちが普段カフェで楽しむ風味豊かな「アラビカ種」。栽培に手間がかかり、標高が高い場所を好みます。
もう一つは、病気に強く低地でも育つ「ロブスタ種」。こちらは主に缶コーヒーやインスタントに使われ、独特の苦味があります。
さらに、アラビカ種の中には「ティピカ」「ブルボン」「ゲイシャ」といった品種があり、ワインのブドウ品種のようにそれぞれ異なる風味を持っています。
この品種の違いを知ることが、味の違いを知る第一歩です。
「精製方法(プロセス)」で味が劇的に変わる
コーヒーチェリーから生豆を取り出す工程を「精製」と呼びますが、これが味に大きな影響を与えます。
「ウォッシュド(水洗式)」は、果肉を洗い流してから乾燥させるため、雑味がなくスッキリとした酸味が特徴。
一方、「ナチュラル(非水洗式)」は、果肉がついたまま乾燥させるため、果実の甘みや風味が豆に移り、フルーティで濃厚な味わいに。
同じ豆でも、このプロセスの違いで「レモンティー」のような味になったり「赤ワイン」のような味になったりするのです。
「スペシャリティコーヒー」の定義と価値
「スペシャリティコーヒー」とは、単に美味しいだけでなく、種からカップに至るまでのすべての工程で品質管理が徹底されているコーヒーを指します。
具体的には、SCA(スペシャルティコーヒー協会)の評価基準で80点以上を獲得し、かつ「トレーサビリティ(追跡可能性)」が確保されていることが条件。
「どこの誰が、どうやって作ったか」が明確であることは、安心感だけでなく、生産者のこだわりやテロワール(土地の個性)をダイレクトに味わえることを意味します。
ブラジル:世界一の生産量を誇るコーヒー大国
世界のコーヒー生産量の約3割を占めるブラジル。広大な土地での大規模農業が特徴で、主に「ナチュラルプロセス」が採用されています。
ブラジルコーヒーの特徴は、酸味が控えめで、ナッツやチョコレートのような香ばしさと甘みがあること。バランスが良く飲みやすいため、ブレンドのベースとしても重宝されます。
また、日系移民がコーヒー栽培に大きく貢献した歴史もあり、日本とも縁の深い生産国。
ブラジルの不作は世界相場に直結するため、経済ニュースの主役でもあります。
エチオピア:コーヒー発祥の地と華やかな香り
コーヒーの起源とされるエチオピアは、「モカ」の愛称でも親しまれています。
この国のコーヒー最大の特徴は、紅茶や花を思わせる「フローラルで華やかな香り」と、柑橘系の明るい酸味です。
原種に近い多種多様な品種が自生しており、その遺伝的多様性は世界一。
また、客人をコーヒーでもてなす「コーヒーセレモニー」という伝統文化が根付いており、生活とコーヒーが密接に関わっています。
華やかな香りを体験したいなら、まずはエチオピアの浅煎りを選ぶのが正解です。
インドネシア:独特の「スマトラ式」が生むコク
インドネシアのコーヒー、特に「マンデリン」は、日本でも根強い人気があります。
高温多湿な気候に対応するために生み出された「スマトラ式」という独自の精製方法が特徴。
これは生豆が半乾きの状態で脱穀する方法で、これにより独特のアーシー(大地のような)な香りや、スパイス、ハーブのような複雑な風味、そして濃厚なコクが生まれます。
酸味よりも、どっしりとした苦味や飲みごたえを求める人にとって、インドネシアのコーヒーは最良の選択肢となります。
コスタリカ:マイクロミル革命と環境配慮
中米のコスタリカは、「マイクロミル」と呼ばれる小規模な加工場が増えたことで品質が劇的に向上。
生産者が自ら加工まで行うことで、細かな品質管理や実験的な精製方法(ハニープロセスなど)が可能になり、個性豊かな「マイクロロット」が生み出されています。
また、環境先進国としても知られ、コーヒー栽培を通じて森林や野生動物を守る取り組みも盛んです。
酸味と甘みのバランスが良く、透明感のある味わいは、まさにスペシャリティコーヒーの優等生と言えます。
テイスティングで意識すべき「甘み・酸味・ボディ」
コーヒーの味を表現する際、プロは「甘み」「酸味」「ボディ(コク)」「香り」などを指標にします。
「甘み」は砂糖の甘さではなく、熟した果実の印象や後味の余韻。
「酸味」は酢のようなツンとするものではなく、オレンジやリンゴのような爽やかさ。
「ボディ」は口に含んだ時の質感や重厚感。
これらを意識して飲むことで、「ただの苦い水」だったコーヒーが、「オレンジのような酸味と、チョコレートのような余韻がある」といった、色彩豊かな飲み物に変わります。
サステナビリティと「美味しい」の未来
気候変動により、2050年にはコーヒーの栽培適地が半減するという「2050年問題」が懸念されています。
私たちがこれからも美味しいコーヒーを飲み続けるためには、生産者が適正な利益を得て、環境に配慮した栽培を続けられる仕組み(サステナビリティ)が不可欠。
最近の評価基準では、味だけでなく、生産背景や環境への配慮(トータルクオリティ)も重視されるようになっています。
一杯のコーヒーを選ぶことが、遠く離れた生産地を守ることにつながるのです。
【まとめ】今日からコーヒーの選び方が変わる!教養としての一杯

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
内容についていかがでしたでしょうか。
コーヒーの教養を身につけると、カフェのメニュー表が「世界地図」に見えてきます。
「今日はスッキリしたいから、エチオピアのウォッシュド(水洗式)にしよう」「疲れているから、インドネシアの深煎りでコクを楽しもう」。そんなふうに、自分の気分と豆の個性をマッチングさせることこそが、スペシャリティコーヒーの醍醐味。
また、コーヒーは単なる嗜好品を超え、生産国の経済や気候変動、そして私たちの消費行動がつながっている「グローバルなメディア」でもあります。
私たちが「安さ」だけでなく「品質」や「背景」に対価を払うことは、美味しいコーヒーの未来を守る投票行動にもなります。
まずは、次にコーヒーを買う時、袋の裏面にある「生産国」と「精製方法(プロセス)」をチェックしてみてください。
そこにある情報を読み解く楽しさが、あなたの毎日のコーヒータイムを、より知的で豊かなものに変えてくれるはず。
みなさんも「コーヒーを知り、世界を知る」を実践してみてはいかがでしょうか。
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